空へ

今年の2月から、老人ホームでケアさせていた患者様が亡くなりました。


最初は、「何しに来たんだ」と悪態つかれたのですが、トリートメントが終わったら、「次来る日をカレンダーに書いてけ」と半命令(笑)


次に行った時、また「なんだ!」と(笑)

様子伺いで、尋ねました。

「身体辛いところないですか?」

「ないよ!」

「じゃあ、トリートメントしない・・・」

「するよ!」

そんなやり取りが続いて、少しずつトリートメントしながらお話をするようになりました。

ご家族のこと、今までやっていた仕事のこと。


老人ホームでのケアは、ご家族の承諾が必要で、私は、娘様からの依頼でケアをさせて頂いてました。


ある時、「娘様から頼まれてケアしているんですよ」と伝えた時、

とっても嬉しそうな顔をされたのを覚えています。

目を見開いて「ほんとうぉ」と。


とってもかわいい人なのです。


5月にケアに行った時、急に気温が上がったせいか、体調を崩されていました。

ただ、少しお話しすることも出来て、お会いした時も手を振るような素振りも見せて下さいました。


トリートメント中、

「気持ちいいね、ありがとう」

と急に素直に言うもんだから、泣きたくなってしまい・・・

「良かったーまた来るからね」と言い返すも

「待ってるよ」

泣かない、泣かないと言い聞かせ。

そして来月の予定をカレンダーに書き、部屋を出ました。


6月。

先月よりも弱ってしてしまっていて、声もかすれ声でした。

もう、圧をかけられる程の筋肉もない。

さする、温めると言ったケア。

「あぁ気持ちいい」と声にならない声で伝えてくれる。


最後、部屋を出る時に、

「また来るね、来月ね!」と言ったら、口が動いている。

口元へ耳を持っていくと、かすれ声で

「ありがとう」。


もし、私のトリートメントが、彼のひとつの楽しみであったのであれば、それはとても嬉しい。

そうやって過ごしてくれていたのであれば、感謝しかない。


忘れない。

心に刻んで、私も成長していく。

こちらこそ、ありがとう。


もう会えなくなることは、とても寂しい。

やり取りが最高に楽しかったから。

また、いつか。どこかで。


私はきっとずっとトリートメントを続けていきます。




Kumiko Ando Aromatherapist

主に、医療施設内で「アロマセラピー+漢方」を融合させた、独自のトリートメントをしています。  漢方・アロマセラピーを分かりやすく、身近に感じられるようなブログや症例を書いています。 たまに、プライベートな出来事も書いています。

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