老人ホームでのケア


今年に入ってから、老人ホームにてアロマセラピーケアを始めました。

新しいご縁の始まりです。


ご予約入れて下さった方は、5名。

首が左に傾いたまま顔を上げられない方

徘徊していないと落ち着かない方

左半身に麻痺が残る方

大腿骨の骨折し、歩けなく足がむくんでしまう方

情緒が不安定で物にあたってしまう方


石巻に行っていた時の教訓で、(肌に直接触れることは、受け入れてくれたということ。)初めから肌に直接オイルを塗布することに抵抗がある方も多いと思い、服の上からのマッサージからスタートしました。

直接肌に触れる事を了承いただいた方には、ホホバオイルを手や足に軽く塗布しました。

アロマセラピーを勉強されている方は、分かると思いますが、精油は皮膚の中まで吸収します。

老人の皮膚は乾燥をしていて、バリア機能の形成が不安定のため、吸収スピードが速いと考えられます。いわゆる超敏感肌の状態です。

始めての方も多いため、精油は使わずホホバオイルだけでケアをしていきました。

精油は、芳香でも充分に効果はありますので、アロマはコットンに含ませて枕元に置いてきました。


持って行ったアロマは、オレンジスイート、グレープフルーツ、レモン、柚子、ペパーミント、フランキンセンス、ユーカリグロブルス。

これは、緩和ケアをやっていた時の教訓で、シンプルで馴染のある香りの方が受け入れやすいということからです。


少し首が左に傾いてしまった方のお話をしたいと思います。

ホームに入った1か月前から、少しずつ首が左に傾いていき、右に向けられなくなりました。

これを聞いた時に、「1か月じゃ元に戻る可能性はあるかも」と思い、身体の状態を確認しました。

傾いている左は筋肉が緩んでいるので、問題は右側。

右の筋肉は左に引っ張られているため、手先まで張りがきていました。

手先からゆっくりと筋肉をさすっていきます。(高齢の方は骨も弱いため、圧(力)は入れません)

肩甲骨もゆっくりと触れていきますが、その程度でも「痛い」とおっしゃりました。

痛さや違和感を確認しながら、ゆっくりと摩っていきます。

そして、肩、背中、首。

首は板のように右だけがパンパンでした。

そして、また手先に戻ってマッサージと繰り返していきます。

首にきた時に、頭に手を添えて、ゆっくりと顔を右に傾けてみました。

いきなり傾けるとびっくりしちゃうので、徐々に徐々にと。

3回目くらいで、私は手を放し、「自分でやってみますか?」と声をかけてみると、ご本人でゆっくりと顔を上げて下さいました。

丁度、マッサージしたお部屋には、写真のような景色があって、顔を上げると青い空か見えます。

「久しぶりに見たね~」と笑顔でおっしゃって下さいました。

この方には、柚子をお渡ししました。

眠れないと言っていたので、安眠効果のある柚子を枕元に。


私の祖父母は晩年、実家近くの老人ホームで暮らしており、その時の記憶が蘇りました。

この笑顔。久しぶりに会えました。

祖父母がなくなってから、同年代の方々に触れるのはとても久しぶりでした。

筋肉は少なくなり、細くなった腕。

皺の寄った肌。

思い通りに動かなくなった体を、丁寧に大切に。

頑張って生きてきた証です。


その他にお渡ししたアロマは、

徘徊がある方には、リラックス効果のあるオレンジスイート。

左半身に麻痺が残る方は、血液サラサラ効果のレモン。

大腿骨折してしまった方には、誘眠効果のあるオレンジスイートを。夜に痛みが出て寝れないそうです。

情緒不安定で物に当たってしまう方には、同じくオレンジスイートを。


帰りに、「ありがとう」と言いながら手を振って下さった、笑顔。

嬉し泣きしそうだったのを頑張ってこらえました。

この仕事をしていて、この笑顔に会うためにやっていたことを思い出しました。

私にトリートメントをさせて下さってありがとう。


今年は「原点回帰」。

こういうひとつひとつを初心に戻って大切に、やっていきたいと思っています。


もし同じようなお悩みの方がいらしたら、ぜひアロマを枕元に置くことから始めてみて下さい。

マッサージは出来なくても、出来ることをするで良いと私は思います。

「誰かに何かをしてもらえる。」これは、歳関係なく嬉しいことだと思います。


Kumiko Ando Aromatherapist

主に、医療施設内で「アロマセラピー+漢方」を融合させた、独自のトリートメントをしています。  漢方・アロマセラピーを分かりやすく、身近に感じられるようなブログや症例を書いています。 たまに、プライベートな出来事も書いています。

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