20年前のわたし
写真を撮っている時に、もっとも尊敬し、影響を受けた写真家「安珠」さん。
本当に久しぶりに、個展で再会することが出来ました。
出会いは、20年前。
ラフォーレ原宿で「サーカスの少年」という写真展を見に行ったのがきっかけでした。
当時の私は、自分のいる場所がなくて、何をしていても地に足がついていなくフラフラしていた状態。
生きている意味
ここにいる意味
自分ってなんだろう
って模索していた頃。
フラストレーションががっちがちに固まった状態でした。
安珠さんの作品は、自由でかっこよくて、自分の中にあるものを存分に表現されていて、
完全にパンチ食らいました!
「心の中にあるものを、言葉ではなくても表現できる」ということを教わった時、とっても自由である解放感を感じました。
私にも表現できる場所がある。
伝える場所があると、在りかを見つけた!と思ったのです。
言葉で伝えることが下手な私は、「何か」を通して伝えることが、とても楽で心地よいものでした。
見た人が勝手に解釈し感じてくれればいい。
決して誰かを傷つけることはない。と思いました。
展覧会に何度も足を運び、作品を肌、心で感じ、焼き付け、何度とみても色あせない思いを心に封じ込めました。
そうして取り始めた写真は、安珠さんを真似たものばかり。
到底、追いつけるものではありませんが、まずは「真似」から入りました。
その作品を持って、次の展覧会の時に図々しくも「写真を見てほしい」と会いに行きました。
当時は、写真学校に通っていて、現像も自分でしていて、写真美術館で学芸員のアシスタントをしていた頃。
まだまだ写真をかじっているくらいの時。
私の写真を見た安珠さんは、
「センスいいから頑張って。また写真見せに来て」と言って下さいました。
その後、事務所に行かせてもらってお話しさせてもらったりしました。
そして、今回20年ぶりに展覧会を見に行きました。
20年前に見た作品がずらりと並んでいて、
不思議と見た時の興奮がよみがえり、ドキドキとワクワクの波で泳いでいるよう。
あの時のわたしがそこに戻ってきたようでした。
そして・・・
偶然にも安珠さんが写真展にいて、お会いするという。
しかも、来店者へ作品の説明もしてくれるという。
泣くかと思った、わたし。
写真、ひとつひとつの話を聞いていると、
あの頃、自分で撮った作品は、これ程までに影響していたのかと、改めて思いました。
「星をめぐる少年」
本当のことは、目に見えない。心の中にある。
と。
私の大きな作品は、
「Close Your Eyes」
目を閉じて。聞いて、感じて。という作品。
あの頃、安珠さんを追っていて、そして目指していて、どんどん先に行ってしまう憧れの人は、今でも魅力的で、一生懸命で、そして全然変わっていなくて。
会えて良かった。
話して良かった。
ただ、ひとつ心残りがあって。
一緒に写真を撮っていた時に、さらっと
「まだ写真やってるの?」と聞かれ
「辞めました」と伝えたあと、
他の人に呼ばれて、行ってしまったこと。
その後、話すタイミングもなく、帰ってきてしまったけれど、
またきっとどこかで会って話せるような気がするから
その時まで、とっておこう。
そして、ちゃんと伝えたい。
あの夢中になって写真を撮っていた頃の自分以上に
今の自分が好きなことを。
ちゃんと居場所を見つけたことを。
それは、安珠さんと出会え、追いつきたいと思っていた
あの頃の自分があるからと。
安珠さんと再会して、それは確信になったことを。
安珠さんの写真展は今月28日まで。
安珠写真展 ビューティフル トゥモロウ ~少年少女の世界~
7月11日〜8月28日
キャノンSギャラリーにて
HPはこちら→https://www.anjujp.com/
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